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藤田 欣也 教授

藤田研究室はキーワードに「バーチャルリアリティ」と「ヒューマンインタフェース」を挙げていて、研究テーマは大きく分けると3つあります。

1つ目はバーチャルリアリティの研究で、「バーチャルな世界を触れるようにしよう」という取り組みをおこなっています。そのためには、バーチャルな物体に触った時の感覚を表現する装置を作る必要があります。さらに、バーチャルな世界の物体と人の接触を検出し、触れ方に応じた適切な力を計算して返してあげる必要があります。例えば、人が物体を握ったことを検出して指に力を加えるだけなら簡単ですが、物体を持って他の物体の表面をなぞたっときに、そこの凹凸を感じ取れるように、複雑な環境でも適切な力を計算できるプログラムが必要です。
このように計算と装置の両面から、バーチャルな世界のものに触れるようにしようというのが一つ目のテーマです。新しい計算方法やデバイスを開発して、さらにネットワークを通して離れた人同士が一緒に触れるようにすることで、ゆくゆくはバーチャルな世界の中でトレーニングをしたり、実際にモノを組み立ててみたりできるようにしたいと考えています。

2つ目は、アバターになってバーチャルな世界で会話するシステムです。このシステムでは、まず自分の顔写真からアバターを作るのですが、まったくそのままの形でCGにすると、似てはいても気持ち悪いアバターが出来上がってしまいます。そこで、アニメの顔を分析して、自動的にアニメキャラクターのようにデフォルメするプログラムを作りました。そうして、自分よりも少し可愛らしくなったアバターを通して、バーチャルな世界でスカイプの様におしゃべりする訳ですが、アバターが動かないと気持ち悪いですよね。そこで、会話のリズムや話している人の交替などを利用して、実際の人と同じようにアバターの視線や表情などが変化するプログラムを開発しています。
テレビ電話だと見せたくない部分まで写ってしまうことがありますが、少しデフォルメした友達のアバターが自然に振る舞ってくれることで、ネットの上でも、いつもの部室や教室と同じ感覚で楽しくかつ自然に会話できるようにしたいと考えています。
3つ目は「仕事中の忙しさを推定する」という研究で、いくつかの企業と共同で進めています。世の中の情報化やネットワーク化が進んだ結果、仕事に集中しているにもかかわらず、メールが着信したりメッセンジャーが割り込んだりすることで、仕事の効率が低下する事態が発生しています。私自身も、集中している時に電話が鳴ると頭の中が真っ白になってしまいます。忙しい時は割り込みを一時的に保留しておき、一段落したタイミングを見計らって知らせてくれる、優しい秘書さんのような機能をコンピュータで実現するのが私たちの夢です。
昨年、CEATECに出展したところ多方面から反響が寄せられて、さらに色々な展開を検討しているところです。情報技術の普及によって、人の状況に配慮できる情報システムは今後ますます重要になってくると考えられるので、この4月には他の研究室とも協力して文部科学省の支援による研究プロジェクトを立ち上げる予定です。

情報工学科で教員をしていると、コンピュータの魅力って何ですか、と聞かれることがあります。人それぞれだと思いますが、私は、コンピュータの魅力は人が考えた事を忠実に実行してくれる点にあると思います。考えたアイディアをプログラミングするだけで実現してくれなんて、すごいと思いませんか。大切なことは、コンピュータがどんなことをしてくれると人が嬉しいか世の役に立つかを考える発想力と、それをどうやって実現するか手段を考える論理力です。情報工学を目指す若い人たちには、未来に向かって実現させたい夢をどんどん描き、そうして夢を自分の手で実現してもらいたいですね。大学は、皆さんが夢を実現するために必要な能力を身につける場所です。
私自身が高校生だった頃の話をすると、当時はアマチュア無線に夢中で発売されたばかりのマイコンにも興味があったので、漠然と情報工学や電子工学の世界に進みたいと思っていました。それで大学は電気工学科を選んだのですが、当時は、情報工学や電子工学も一緒だったので、コンピュータを含めいろいろな授業や研究室があって、楽しく有意義な学生生活を送ることができました。高校生の皆さんには、進路に悩んだら大学の説明会や見学会に行って、研究室を見学してみることを勧めます。きっと、興味のある何かを見つけられると思います。ちなみに、東京農工大学は研究が非常に活発で研究環境が整っていることに加えて、都心から適度に離れているため便利でありながら落ち着いた環境なので、最近のアンケート調査によると本学を訪れた高校生の多くが本学を受験しているそうです。

最後に、受験生の皆さんへのメッセージは、「『何故?』を大切にしてください」です。日頃、何気なく使っている装置やプログラムであっても、どうやって動作しているんだろう、どうしてこのデザインになっているんだろう、と原理や成り立ちに想いをはせてみることから、新しいアイディアが生まれて来るかもしれません。是非、一緒に未来の情報システムを考えてみましょう。

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