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小谷 善行 教授

小谷研究室における研究分野は、ゲームと言語で構成されている。ゲームの中にはパズルっぽいものも含まれており、言語の中に音楽を含めて考えることができます。
すべての研究分野に共通することですが、人工知能というか、人間のやることをコンピュータにちゃんとやらせたいということが出発点になっています。その一環として、一つはゲームであり、もう一つが言葉という2本柱で考えています。
音楽の中のつながり方は言葉のつながり方とかなり関連していて、言葉のつながり方同様に論理的に扱うことができるからです。
またゲームというのは人工頭脳の題材として考えると、明確に答えが現れる。勝ち負けがはっきりするので、人間の力を達成したことが把握できる。
将棋の世界における最近の記録に、コンピュータ将棋がプロ棋士を破ったというがあって、30年余りの研究成果が現れたといえます。羽生名人によれば、コンピュータと対戦するときには過去の棋譜に存在しない、フェイントというか、ありえない手を敢えて指して混乱させるのが、一つの作戦だとの解説が巷に伝えられています。
しかし強いコンピュータソフトは過去の棋譜をたくさん持っていて、序盤はその棋譜に基づいて展開するので、過去の棋譜にない手を指されると戸惑いの要因になることは考えられますが、対戦前に大変な学習をしていて、駒の価値とか働きなど何百万ものパラメータを持っています。
そして学習結果から判断材料を探してゆくので、フェイントを掛けられると指せないということにはなりません。この分野の研究者は私の他にもたくさんいて、後5年もすると完全に羽生さんに追いつくことが可能になると考えています。
人工知能の話ですが、人間が全部を作るのではなくて、言葉でも同じです。いろんな学習のメカニズムをうまく使って、いろんな情報を得る仕組みができています。
ある単語について、この文の時にはこういう意味で使われているというデータがたくさんあったとすると、その単語が使われたときの周りを観察して、どんな意味で使われているかを判断します。
ゲームの場合だと(将棋を例に取ると)、着手といって指す手と指さない手の2つに分かれる。できるだけ指す着手を掘り下げて深く調べることで対応していく。これも分類問題で、言葉の使われ方の判断と共通しています。
音楽の場合も考え方は同じで、曲とか演奏とか過去の事例を掘り下げていって、らしさを作り出す、あるいはらしくないものに仕立てるという手法がとられる。
小谷研の研究では音楽にも文法があるという立場で進めていて、音の並び方に一定の決まりがある。例えば繰り返しなどもその1つで、リズムなどもその中に含まれていると考えている。
ただし現段階での研究は単旋律が主体で、クラシック曲のように楽器の組み合わせまでには手をつけていない。また自動生成された曲を美しさの観点から眺めると、60点くらいの出来かな?
さてゲームも言葉も、あるいは音楽も、根源的には似ていると話しました。
直接的になるけれども、ゲームの場合はリアルなソフトが出来上がる。ただそれだけかもしれないが、勝ち負けがクリアなので、アルゴリズムがうまく行っているのかいないのかは一目瞭然に判る。そうゆう意味で、社会的に研究の題材としての意義があるでしょう。
また、あるシステムを作るときに、似たような解を持つ手法をたくさん持ち寄って合議をする。多数決もあれば投票によって決めるなど、合議制のあり方の研究事例を作り上げることができる。ある時には成功して、ある時にはうまく機能しないなど、パラメータの話も同じで、問題解決手法につながっている。
企業などに於いては危機管理システムとして、手法が取り入れられている。決定木といって、良いか悪いか、yesかnoか、を判断させる手段にずばり応用できる。
さて高校生に向けたメッセージというと、とにかく研究は面白いけれど、興味をもてない人には楽しくないかもしれない。何事にも共通しますが、興味の対象を見つけた人は頑張れる。
何かをいじって、作ることに興味を見出すことであろうか。パズルなどはその入り口になるかもしれない。人の作ったものを解くだけでなく、自分で作ってみる。気が着くとのめり込んでいる。そういう人との出会いに期待をしている。

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